つのおブログ

2016.07.26更新

単極性うつ病 外国出身の方
女性 45歳
日本人男性と結婚され子宝にも恵まれ幸せな家庭を築いておられますが
仕事のストレスから8年前にうつ病を発症されました。
もともと内向的で発散できない性格と自己分析されます。
入院の経験もあり、現在抗うつ薬、睡眠薬などによる標準治療を受けていますが改善が見られず、来院されました。
初診時SDS 53で、まずは休職に入られ、20回の予定でTMSを開始しました。
反応性がよい方で、10回ほどの時点で仕事に復帰したいと言われるほどになりました。
20回終了時SDS 39となり、ご本人のご希望により終了としましたが
まだ不十分なところがあるので、しばらくの間1週間に1回実施することにしています。

投稿者: つのおクリニック

2016.07.19更新

日本は世界に先駆けて超高齢化社会に到達しました。それに伴って
悪液質、サルコネペニアが注目されていますが、予防医学としての観点から
フレイルFrailtyが注目されています。
フレイルとは、正常高齢者と要介護高齢者の中間に位置するものと捉えられ
2通りの診断基準があります。


疲労:疲れやすいですか
レジスタンス運動:階段を一気に登ることが出来ますか
有酸素運動:1ブロック休まずに歩けますか
疾患の集簇:持病が5つ以上ありますか
体重減少:過去5年間で5%以上の体重減少がありましたか


体重減少
疲労感
活動度の低下
身体機能の減弱(歩行速度の低下)
筋力の低下(握力の低下)


いずれの診断基準も、5項目中3項目もの以上あれば、
フレイルと診断されます。

状態把握は進んでいますが、対策が遅れているのが現状です。
そんな中で漢方の人参栄養湯がお勧めです。
人参栄養湯は代表的な補剤で、ガンの緩和治療では、全身状態の改善、
抗がん剤、放射線の副作用防止、疲労の改善に使用されています。

構成生薬の成分から
抗炎症作用
疼痛軽減
ストレス軽減
食欲増進
サルコぺニア防止(筋肉増加)
情動行動の改善
神経細胞保護作用
動脈硬化予防
骨量改善
認知機能の改善

の効果が報告されています。

いわば若返り効果であり、アンチエイジングとしても利用可能です。

投稿者: つのおクリニック

2016.06.20更新

女性月経についての3大処方に、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸があることはよく知られています。
月経前症候群premenstrual syndrome PMS、月経前不快気分障害premenstrual dysphoric disorder PMDDに使用されます。
それぞれの使い分けについて述べてみます。

当帰芍薬散
血虚、脾虚、湿盛の病態です。
皮膚につやがなく、頭痛、月経痛痛:血虚
食欲不振、疲れやすい、むくみ、冷え:脾虚、湿盛
とくに、月経前の冷え性、めまい、動悸、神経質
色白のぽっちゃりタイプです

桂枝茯苓丸
下焦の於血
下腹部の痛み、圧痛抵抗、月経不順に
下肢の冷え、静脈うっ滞、のぼせ、頭痛、肩こり
有名な症状が、冷えのぼせ です。

加味逍遥散
肝気鬱結、血虚、脾虚
憂うつ感、イライラ、おこっりぽい、頭痛、脇ばらの痛み:肝気鬱結
頭がふらつく、ボーとする、四肢のしびれ、肌荒れ:血虚
月経前の情緒不安定、抑うつ、動悸

もうひとつ、桃核承気湯
これも下焦の於血です。さらに太陽病畜血症が重なった病態です。
下腹部が固く張っていたむ、圧痛、便秘
ヒステリー、神経衰弱
月経前の、便秘とイライラをしめす実証タイプに有効です。

投稿者: つのおクリニック

2016.06.06更新

ヒト全ゲノムからタンパク質に翻訳されるのは、わずか2%にすぎず
残りの広大な領域はタンパク質の塩基配列を持たない非コード領域であることが
分かっています。この非コード領域からもRNAが転写されることもわかってきました。
このマイクロRNA(miRNA)は、20~25塩基対の短いもので、
細胞内において翻訳調節やクロマチン制御をになう機能性RNAであることもわかってきました。
miRNAは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)に結合し、タンパク質への翻訳を阻害して
遺伝子発現を負に制御することが明らかになりました。
1つのmiRNAは、配列依存的に数百種類のmRNAを制御できるので、発生分化、形態形成、細胞死、
代謝などさまざまな生命活動を遺伝子発現のレベルで調節できます。

◆うつ病に関連する脳由来神経栄養因子BDNFをコードするBDNFmRNA(メッセンジャー)は、MiR-3oaなど複数のmiRNA(マイクロ)の制御を受けること
◆セロトニントランスポーターSERTmRNAはmiR-16の制御を受け、SSRIの効果発現が影響されること
◆miR-135は、セロトニントランスポーター遺伝子とセロトニン受容体遺伝子を標的とし慢性ストレス時のストレス抵抗性を調整すること

などが明らかにされています。

miRNAも、自分自身がコードされている遺伝子がDNAメチル化の制御を受け、転写レベルの調節を受けています。

この様に、基本的なゲノミクスのレベルから、エピジェネティックス、さらに転写後調節、
プロテオミクス(蛋白リン酸化などで、ここでは述べていません)を経て、ようやく最終的な形質発現に至るわけです。

あと十年後には、RNA・エピジェネティックスを利用したより本質的な精神疾患治療が実現していると予想されます。

投稿者: つのおクリニック

2016.05.19更新

今年のスギ花粉の飛散が終了したためスギ花粉舌下療法開始が可能になりました。
舌下免疫療法がスギ花粉症の根本治療です。

1日1回、舌下にスギ花粉(シダトレン)をたらし、2分間保持した後に飲み込みます。
2週間は徐々に増量し、その後は維持量を継続します。

初回時は、医師の立会いのもと副作用がないことを確認します。 
(副作用を点検します)


ダニ舌下療法(ミティキュア)は、いつでも開始可能です。
スギ舌下療法との併用も可能です。

副作用
口内の浮腫、かゆみ、不快感
ノドの違和感、刺激感
アナフィラキシー: 30分以内で蕁麻疹、息苦しさ、腹痛・嘔吐などの症状が出ることがあります。

投稿者: つのおクリニック

2016.05.09更新

双極性障害
40歳 女性
2度の離婚に傷つき、9年前にうつ病を発症。
うつ状態で動けない状態がつづいていたそうです。

精神科に通院し薬物療法をおこなっていますが、明らかな改善はみられていません。
当院初診時SDS 53で、DMⅤから二相性を有すると診断されました。

20回TMS終了時、SDS 41となり著明に改善されましたが
ご本人としては更なる体感を希望され、さらに10回TMSを追加されました。
この時点でSDS 33となり問題なしと判断し、治療終了としました。

お元気になり、新たなお見合いにチャレンジされています。
お仕事は当分の間しないことにしました。

投稿者: つのおクリニック

2016.05.06更新

われわれが中学高校で習い、かつては否定されたラマルクの「獲得形質は遺伝する」という学説が息を吹き返しそうです。
獲得形質とは、遺伝に拠らず、その人が生まれてから生活上で身に着いた特質、技能のことです。
運動選手とか、そろばん塾に行っていて計算が早いとか。


鍛冶屋の息子は、やはり鍛冶屋に向いているのでしょうか。

Diasらは、特定の匂い物質に条件化された恐怖反応が
子ども世代(F1)のみならず、孫世代(F2)にも引き継がれることを示しました。
 
Yehudaらは、ホロコースト体験者でPTDS罹患者の次世代者間では、PTSDリスクが増大し、これがグルココルチコイド受容体関連遺伝子のDNAメチル化(CH3-残基の付加)と関係していることを示しました。

その人自身は被虐待などの幼児体験を経なくても、病的状態が発現することがおこりえることになります。
これとは逆に、親の優れた、後天的な獲得形質が受け継がれていく可能性も当然あります。
われわれは、このような蓋然性も考慮しながら対応していく必要があります。

DiasBG, ResslerKJ: Parental olfactory experience influences behavior and neural structure
In subsequent generations. Nat Neurosci 17: 89-96: 2014

YehudaR et al.: Holocaust exposure induced intergenerational effects on FKBP5 methylation.
Biol Psychiatry 2015 Aug: [e-pub]

投稿者: つのおクリニック

2016.04.25更新

「あの人が会社に来なくなった」
「まさか私がうつに」
という状況はときどき経験するものです。

会社で昇進したときとか、大きな地震の恐怖にさらされた時とかに起こります。

その人の遺伝子は一生を通じて変わるものではないのに、元気な人にどうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

それは、その人のストレス耐性のつよさに関係してきます

それでは、ストレス耐性の分子的な基礎は何でしょうか。

うつ病の場合、脳由来神経栄養因子BDNFであると考えられています。

海馬で充分量のBDNFが発現していれば脳細胞は護られ、不十分であれば、細胞死に至ります。

細胞核内(10μm)で糸状のDNA(2mになります)は、構造蛋白質のヒストンに巻き付いて安定したクロマチン構造をつくっており、そこで遺伝子の転写・発現がおこなわれます。
BDNF遺伝子のところのヒストンが高度にアセチル化(CH3COO-残基の付加)されると、BDNF遺伝子の転写が亢進しBDNF産生がふえ、脳細胞が保護されることになります。

この様に化学修飾により遺伝子転写が調整されることを、エピジェネティックスといいます。

慢性的な社会的敗北状態では、エピジェネティックスを介した海馬でのBDNF減少がみられ、抗うつ薬イミプラミン投与によりBDNF発現が回復することが知られています。

これが、抗うつ薬の主作用であり、効果の時間経過とよく一致します。

おそらく、磁気刺激治療もBDNF発現を介するものであり、ただ効果発現の時間経過が非常に早く、薬物治療より確実であり、副作用少なくはるかに安全です

投稿者: つのおクリニック

2016.04.22更新

個人の遺伝子構成は一生を通じて変わることはありませんが
一つの遺伝子が発現されるか、されないかは、いろいろに修飾され調節されています。

それは、DNAを取り巻いているヒストンのアセチル化、DNAのメチル化などを通して行われます。
この後天的な現象を、エピジェネティックスと云います。

たとえば、デパケン(バルプロ酸)は、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し遺伝子発現をかえてその効果をおこすと考えられています。
すなわち、デパケンはエピジェネティックスを変化させることで気分安定効果を起こしていることになります。

投稿者: つのおクリニック

2016.04.20更新

桜の季節が終わり、陽気が上がってきました。
新緑をめでる人がいる一方で、
この不安定な季節を苦手にされる方がいます。

全身的にだるい
意欲が出ない
吐き気
通勤がつらい、恐い
頭の回転が悪い
仕事に集中できない
夜眠れない
夜眠れない
めまいがする
耳鳴りがする

この様に感じる方は、季節性のうつ状態である可能性があります

本格的なうつ病の前兆である可能性もあります。
とくにストレスと重なっている方は要注意です。
早めの受診をお勧めします。

投稿者: つのおクリニック

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